【覚え書き】実証研究と理論
1年半くらい更新が滞っていましたが、ひさびさに記事を書いてみました。
社会科学の実証研究で、理論をどう位置付けるか、あるいはどのような理論的な背景のもとで分析を行うかみたいなところについて考えてみました。基本的な問題意識としては、①教科書的に出てくる、理論と実証の往還みたいな話や、人の論文を読むと理論的貢献が物足りないと思ったりするくせに、いざ自分が何か考えようとするとどういう手順で考えればよいのかは分からない…という状況が続いていた。②理論的貢献の仕方について、How To的なかたちで習ったことがない。という2つが自分のなかでずっと考えている点としてありました。
自分で考えるうえでヒントになりそうな文章をみつけたので、それにもとづいて考えたことを整理したいと思います。
読んだ本は、『社会学の力』の第1部6「概念構成と命題構成」です。
分かりやすかったのは、まず理論構築において概念構成と命題構成の2つを分ける点です。概念構成は、
対象を明確にとらえた概念を作り出すことであり、多くの場合、日常用語に学術的意味を付加することによってその専門分野の重要な概念にすること
とされています。これが社会科学において重要な理由として、自然現象との対比から、社会現象を一義的に定義することが難しいこと、新しい社会現象を捉える必要があることが挙げられています。
理由については、わかるようなそうでもないようなといった感じですが、私なりの理解では、対象がより日常的なものであるがゆえに、誰であれその社会現象に対して何か考えることができるので、その社会現象のどの部分に焦点を当てるか、どのように焦点を当てるか、がより重要であるということかなと思います。
そして、命題構成は概念間の関連についての定式化であるとされています。
以上のような捉え方だと、次のような手順で理論について整理することができるのではないかと思います。①実際に観察される現象がどのような概念でまとめることができるか、観察されるさまざまな現象のどれをひとまとまりの概念として考えるか、といったことを整理したうえで、②その概念間にどんな関係がある/ないを考えるという手順を踏めば、ひとまずそれは理論的な検討を行ったことになるといえそうです。そこで考えたことが、理論的に的確かどうかは別としてファーストステップとしては十分かなという気がしています。