「階級・階層と社会移動」『社会学の力』
先日より『社会学の力』を少し読んでいます。2~4ぺージ程度で1つのトピックが扱われるため、適当に読んでいます。今回は、「階級・階層と社会移動」を読みました。
おおむね読む前に持っていた理解に近かった気はしますが、日本と欧米の社会状況との違いが意識されており分かりやすく感じました。日本の階層研究について、国際比較・歴史的変化の観点から、全体的に1つのストーリーとしてまとまった記述になっている点が優れているのかなと感じました。
- 階級は、ヨーロッパの近代産業社会のなかでの社会集団で、日常的に人びとが使う概念
- 階層は、明瞭に対応する社会集団をもたない連続的な地位で、もともとは研究者側の専門用語。
- 日本だと多くの人にとって自明な集団間の軋轢(欧米だとエスニシティや宗教)はなかったため、社会変動の進行とともに論点が変わりやすい。戦後の階級社会→中間層を軸とした階層社会→流動化した格差社会。
- 階層研究の主たる論点は、「出自によって人生に不平等が生じない社会をめざすこと」。研究の知見としては、既存構造の継続 or ごく緩やかな平等化とされることが多く、それを維持するものとしての学歴が分析の焦点の1つとなる。
- 産業社会のなかでの自分の立ち位置の認識が焦点だったことを踏まえると、主観的な階層意識も論点となる。
【パワポ】グループ化
最近、パワーポイントのショートカットキーをあまり使えていないことに気づいたので勉強中です。オフィスソフトの中でもワード、エクセルのショートカットキーの話はよく聞きますが、それと比べるとパワーポイントの話はあまり聞かない気がします。
今回は、グループ化のショートカットキーです。グループ化は、複数のオブジェクトをまとめることでレイアウトが崩れないようにするときに便利です。スライドの再利用をする際なんかにも、設定しておくと便利かなという気がします。
グループかは、グループ化したいオブジェクトを選択した状態で
Ctrl + G
で、グループ化解除は
Ctrl +Shift +G
で可能です。これまで右クリックや上部のタブから行っていましたが、だいぶ簡潔で便利です。
【覚え書き】実証研究と理論
1年半くらい更新が滞っていましたが、ひさびさに記事を書いてみました。
社会科学の実証研究で、理論をどう位置付けるか、あるいはどのような理論的な背景のもとで分析を行うかみたいなところについて考えてみました。基本的な問題意識としては、①教科書的に出てくる、理論と実証の往還みたいな話や、人の論文を読むと理論的貢献が物足りないと思ったりするくせに、いざ自分が何か考えようとするとどういう手順で考えればよいのかは分からない…という状況が続いていた。②理論的貢献の仕方について、How To的なかたちで習ったことがない。という2つが自分のなかでずっと考えている点としてありました。
自分で考えるうえでヒントになりそうな文章をみつけたので、それにもとづいて考えたことを整理したいと思います。
読んだ本は、『社会学の力』の第1部6「概念構成と命題構成」です。
分かりやすかったのは、まず理論構築において概念構成と命題構成の2つを分ける点です。概念構成は、
対象を明確にとらえた概念を作り出すことであり、多くの場合、日常用語に学術的意味を付加することによってその専門分野の重要な概念にすること
とされています。これが社会科学において重要な理由として、自然現象との対比から、社会現象を一義的に定義することが難しいこと、新しい社会現象を捉える必要があることが挙げられています。
理由については、わかるようなそうでもないようなといった感じですが、私なりの理解では、対象がより日常的なものであるがゆえに、誰であれその社会現象に対して何か考えることができるので、その社会現象のどの部分に焦点を当てるか、どのように焦点を当てるか、がより重要であるということかなと思います。
そして、命題構成は概念間の関連についての定式化であるとされています。
以上のような捉え方だと、次のような手順で理論について整理することができるのではないかと思います。①実際に観察される現象がどのような概念でまとめることができるか、観察されるさまざまな現象のどれをひとまとまりの概念として考えるか、といったことを整理したうえで、②その概念間にどんな関係がある/ないを考えるという手順を踏めば、ひとまずそれは理論的な検討を行ったことになるといえそうです。そこで考えたことが、理論的に的確かどうかは別としてファーストステップとしては十分かなという気がしています。
【読書メモ】「デモ」とは何か
序章 デモとは何か-クラウド化する社会運動
- p.9: 一時的自主管理空間 TAZ (Temporary Autonomous Zone)。「既存の公的権力の影響が薄まるか無効化しつつも別の秩序によって非暴力と平和が維持される空間」。
- p.15: 社会運動のクラウド化。ポスト「新しい社会運動」。効果として、「ウェブを介して容易に情報にアクセス可能になることで、小規模のコストと手間で情報を共時的にシェアし並列化でき、象徴的なインフォメーション・センター以外に、特定の本部や拠点を必要としない。」
- p.17: 旧来の「社会運動」は階級ベース→「新しい社会運動」はクラスター毎にまとまりがち→特定の場と組織を固定化したリアルな実体に頼らない。
第1章 沸騰する民主主義の現在地-オキュパイ・ウォールストリートを行く
第2章 政治の季節のデモ-大正デモクラシーから1970年代まで
第3章 デモなき消費社会の到来-生活のなかの政治と1980年代
第4章 祝祭としてのデモ-変容する社会運動の1990年代から現在まで
終章 直接民主主義の変貌とわたしたちの政治-311以後のデモの姿
今後書きたいことメモ
- エクセルである値があれば、~、そうでなければ…とかいう処理をする方法
- 自分が使っているブラウザ、ソフトなどのショートカットキーを調べて、便利そうなものをまとめる
- データのハーモナイゼーション
- データの突合、不一致個所をうまく返す方法。
【読書メモ】なぜあなたの研究は進まないのか?
『なぜあなたは論文が書けないのか?』と同じ著者が、もう少し研究全体とそれにかんする心構えや健康管理まで含めて、書いたものです。基本的なコンセプトなどは共通しているので、あわせて読むとよいと思います。同じ著者によって共通のコンセプトで書かれているので内容の重複もないわけではありませんが、独立して読んでも分かるような配慮からそうなっているという感じで、気になるようなものではありませんでした。
今の自分にとって重要と思える箇所を中心に章構成とともにまとめましたが、立場・状況・気分が変われば重要と思える箇所も変わりそうなので、また読んでみたいと思える本でした。
- 重要なテーマを扱うことが大事。重要なテーマは、本質的・普遍・成果が広く応用可能。チェックリストとして、「○その疑問に答えることが、分野の重要な進歩につながるか/○分野の進歩につながるとすれば、どういう形か/○その成果はどのような応用が利くか」
- 研究のための研究でなく、研究の成果がどう次につながるかという長期的な視点(夢、希望、big picture)を本気で考える。
- 「結果の予想」は、こうやったらこういう結果がでるんじゃないか、というただの予想。「仮説」は、「そのように仮定すれば現象がうまく説明できるようなもの」。
- 総説・レビューにまとめる方法。①できるだけ網羅的なキーワード検索、②論文を読む中で漏れていた重要論文を拾う、③読んだ論文をサブカテゴリに分ける、④サブカテゴリを1~3パラグラフにまとめる、⑤並行してプレゼンテーションを作成する
- 辛い経験は、かならず自分にポジティブに作用する、指導的立場になったときに役立つ
- 聞く耳を持つことと、最後は自分が決めるという信念を持つことを同時に満たすようにすることが大事。
- 研究ができる状況は恵まれているのだから感謝する、感謝すれば心に余裕ができ、ポジティブに働く。
- 研究で行き詰ったと思ったら、その研究の意義と仮説・目的に立ち返る。抱えている問題の全体での位置がわかる。
- 「今自分ができることをリストアップし、それに優先順位を付けて、目の前のことに集中して常に一歩前に進む」
【読書メモ】なぜあなたは論文が書けないのか?
論文を書くことにかんして、執筆習慣とそれを踏まえつつ、論文の各パートで何を書くべきか、といった水準もカバーしている本として読みました。本の概要は以下のようなものでした。
- どうしても緊急度が高いこと(例示されているは、学会費の納入)から手をつけてしまうので、論文作成の緊急度を高いものと位置付けることと、それをはじめにやったうえで、その後にほかの緊急度が高い作業を入れることにする、といった方針が示される。
- 緊急性が低いのでちゃんと読んではいないが、英語での執筆において参照すべきことが多く書かれている。3章でも英語での執筆が前提とされているので、今後参照したい。
- 論文を書き始めるまえに、Figureの紙芝居を作成して、ストーリーの完成に必要なことを計画する
- 文献を集める・読むことの重要性は分かっていたが、具体的な数字で示されているのは分かりやすい。分野が違うので30が適量かは分からないが、とりあえず目安にしたい。
- ①テーマが類似、②手法が似ている、③そこそこ以上のJournalに掲載されたモデル論文を3つ探して、表現・構成の参考にする。
- 論文の結論を1~2行(日本語だとたぶん、100~150字でよさそう)で書くところからはじめる。
- 仮説検証型の方がきれいに見えることが多かったり、憧れのようなものもあるので仮説を用意するかどうかは迷うことが多いが、現象のメカニズムを説明する場合は仮説を書き、そうでない場合は目的を書くことにする。
- ①今まで明らかになっていること、②まだ明らかになっていないこと(解決すべき疑問)、③あなたが何をどうやって明らかにしたか、という構成。
- Q24のもっともシンプルなものに付け加えるのは、①では、一般的なことから研究テーマを絞り込むような書き方、②では、rationaleの部分として、何が明らかになっていないか・解決すべき疑問は何か・なぜこの疑問を解決する必要があるか、③では実際の手法を簡潔に書く。
- ①過去形で淡々と、②冗長さを避ける、③より親切に、必要な説明を加える、④記載ルールを守る。
- 結論に向かう結果を厳選して、解釈は最小限で淡々と書いたように見えるようにする
- Discussionは、結果と結論の間のブリッジ。
- パターン1:①結論のポイントを述べる、②この結果が研究の仮説を支持すると述べる。パターン2:①研究の目的を言いなおす、②結果のポイントを述べる。パターン3:①研究の仮説を言いなおす、②結果のポイントを述べる。
- 各段落には、A:Resultで示した結果のまとめ直し、B:過去の文献とその考察、C:AとBから導かれる知見の3つが含まれる。
- 2つのいずれか、あるいは両方。①限界はあるが、それでも研究は正当だ、②限界の克服のための将来の展望。
- ・p.138:Discussionの書き方:まとめ。Discussionの出だしは、①目的・仮説の反復、②結果のまとめ直し、③結論を1段落で。中心部の各段落には、A:Resultで示した結果のまとめ直し、B:過去の文献とその考察、C:AとBから導かれる知見の3つが含まれる。最後から2番目で限界を述べる。最後に結論をまとめ直す。