hpa1013’s diary

読書メモとか、思ったことを何となく書いていきたいと思います。なるべく毎日更新したいです。

【読書メモ】なぜあなたは論文が書けないのか?

 

なぜあなたは論文が書けないのか?

なぜあなたは論文が書けないのか?

 

 論文を書くことにかんして、執筆習慣とそれを踏まえつつ、論文の各パートで何を書くべきか、といった水準もカバーしている本として読みました。本の概要は以下のようなものでした。 

 論文を書くことにかんする、Q1からQ40までの問いかけに対して、MESSAGEとして改善の方針などが示されるというのが全体の形式、プロローグに加えた4章構成で話が進んでいきます。プロローグで、まず論文に書くことが自分にとってどのような意味があるか、真に重要かを考えさせ、問題点を具体的に考えるという本書の方針が示されます。1章「あなたが論文を書けないのには理由がある」では、論文作成を作業としてとらえ、small stepに分解することと、生活の中にそのsmall stepをこなす作業を組み込む方法にかんしてヒントが示されています。2章「すべての物事は2度作られる」では、論文作成に必要な準備段階についての説明、3章「なんとなく書いていないか?」では、実際の論文作成のすすめ方を論文のパートごとに解説、4章「書いただけで終わっていないか?」は、論文を書き終えてからpublicationにつなげるまでを説明しています。
 基本的には、2章から3章にかけての内容が執筆作業を進めるうえで役立ちそうに感じました。論文の各パートに何を書くべきか、頭ではわかっているつもりでも、自分で書くときには守れていないこともある気がしたので、執筆の順番も念頭に置きつつ整理してくれているのは役立ちそうです。
 それとは別に役立ちそうな点としては、Q9の緊急度にかんする話でしょうか。緊急度が高い論文以外の仕事から手をつけて、結局論文にかんすることが何もできていないことが多いので、順番を論文優先にしてその日のスケジュールを立てるというのは参考になりそうです。
 以下は、章構成と、とくに参考にしようと思ったところを章構成に沿ってまとめたメモです。
 
はじめに
プロローグ
CHAPTER1 あなたが論文を書けないのには理由がある:執筆スタイルから取り組む論文作成術
Q9 論文作成はあなたにとって「差し迫った」問題か?
  • どうしても緊急度が高いこと(例示されているは、学会費の納入)から手をつけてしまうので、論文作成の緊急度を高いものと位置付けることと、それをはじめにやったうえで、その後にほかの緊急度が高い作業を入れることにする、といった方針が示される。
Q14 英文を書くことに意識過剰になっていないか?
  • 緊急性が低いのでちゃんと読んではいないが、英語での執筆において参照すべきことが多く書かれている。3章でも英語での執筆が前提とされているので、今後参照したい。
CHAPTER2 すべての物事は2度作られる:いよいよ論文執筆?その前にやっておくべきこと=第一の創造
Q17 ストーリーは描かれているか?
  • 論文を書き始めるまえに、Figureの紙芝居を作成して、ストーリーの完成に必要なことを計画する
Q19 論文のテーマに関連した文献を30以上集めて目を通したか?
  • 文献を集める・読むことの重要性は分かっていたが、具体的な数字で示されているのは分かりやすい。分野が違うので30が適量かは分からないが、とりあえず目安にしたい。
Q20 モデルとなる論文が3本程度見つかったか?
  • ①テーマが類似、②手法が似ている、③そこそこ以上のJournalに掲載されたモデル論文を3つ探して、表現・構成の参考にする。
 
CHAPTER3 なんとなく書いていないか?:メリハリをつけるパート別論文執筆のコツ
Q22 まずはここから:論文の結論を1~2行で簡潔に書ききれるか?
  • 論文の結論を1~2行(日本語だとたぶん、100~150字でよさそう)で書くところからはじめる。
Q23 Introduction1 明確な研究の「目的」または「仮説」を書いているか?
  • 仮説検証型の方がきれいに見えることが多かったり、憧れのようなものもあるので仮説を用意するかどうかは迷うことが多いが、現象のメカニズムを説明する場合は仮説を書き、そうでない場合は目的を書くことにする。
Q24 Introduction2 知識のギャップを中心にした3段論法を展開できているか?
  • ①今まで明らかになっていること、②まだ明らかになっていないこと(解決すべき疑問)、③あなたが何をどうやって明らかにしたか、という構成。
Q25 Introduction3 味付けはサラッとしているか?
  • Q24のもっともシンプルなものに付け加えるのは、①では、一般的なことから研究テーマを絞り込むような書き方、②では、rationaleの部分として、何が明らかになっていないか・解決すべき疑問は何か・なぜこの疑問を解決する必要があるか、③では実際の手法を簡潔に書く。
Q26 Materials and Methods1 なぜ何を書くかを頭の中で整理できているか?
Q27 Materials and Methods2 Reviewer・読者にわかりやすく簡潔にまとまっているか?
  • ①過去形で淡々と、②冗長さを避ける、③より親切に、必要な説明を加える、④記載ルールを守る。
Q28 Result1 Figureの紙芝居で組み立てたストーリーに沿って書き進めているか?
Q29 Result2 建て前と本音を区別して読者を誘導できているか?
  • 結論に向かう結果を厳選して、解釈は最小限で淡々と書いたように見えるようにする
Q30 Result3 ResultとDiscussionの棲み分けができているか?
  • Discussionは、結果と結論の間のブリッジ。
Q31 Discussion1 なぜ論文にDiscussion1が必要かを理解しているか?
Q32 Discussion2 書き出しのパターンを押さえているか?
  • パターン1:①結論のポイントを述べる、②この結果が研究の仮説を支持すると述べる。パターン2:①研究の目的を言いなおす、②結果のポイントを述べる。パターン3:①研究の仮説を言いなおす、②結果のポイントを述べる。
Q33 Discussion3 ポイントとなる結果と過去の文献を使って結論を支持しているか?
  • 各段落には、A:Resultで示した結果のまとめ直し、B:過去の文献とその考察、C:AとBから導かれる知見の3つが含まれる。
Q34 Discussion4 研究の限界(limitation)を述べているか?
  • 2つのいずれか、あるいは両方。①限界はあるが、それでも研究は正当だ、②限界の克服のための将来の展望。
  • ・p.138:Discussionの書き方:まとめ。Discussionの出だしは、①目的・仮説の反復、②結果のまとめ直し、③結論を1段落で。中心部の各段落には、A:Resultで示した結果のまとめ直し、B:過去の文献とその考察、C:AとBから導かれる知見の3つが含まれる。最後から2番目で限界を述べる。最後に結論をまとめ直す。
Q35 すべてのパートが同じベクトルを持って書かれているか?
 
CHAPTER4 書いただけで終わっていないか?
あとがき